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第960話

Autor: 宮サトリ
「医者が来たか確認しろ。まだなら電話して急がせろ、すぐにでも来させろ!」

弘次の声に、澪音は背筋を震わせた。

「すぐに来させろ」という言葉まで出たのは、彼の怒りが極限に達している証拠だった。

澪音は一瞬も迷わず、慌てて部屋を飛び出した。

「はい、すぐ確認します!」

弘次は昏睡した弥生を見つめ、その額ににじむ冷たい汗をハンカチでそっと拭った。

拭いながら、弘次の顔は暗く沈んでいった。

唇の色すら失った弥生。

その姿を見つめるうちに、弘次の胸に初めて芽生えた思いがあった。

無理に彼女を自分の傍に縛り付けることは、間違いだったのではないか。

彼女は自分を愛していない。

それでも、友人としてなら共にいられたはずだった。

なのに今、二人の関係はなぜこんな形になってしまったのか?

どうしてこうなった?

自分はただ彼女を好きになっただけなのに。

幼い頃から、家庭の事情で誰も信じられなかった。

誰にも心を許さなかった。

そんな自分の前に現れたのが弥生だった。

彼女が希望を与えてくれた。

だが、その希望は決して自分のものにはならなかった。

もし彼女があのとき自分を
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